R.レイのMMT入門 第三章第八節 中央銀行と財務省の役割についてのまとめ

ひとくぎり(^^♪
消しゴムさん、タイポご指摘どうもでした!


第三章 国内の金融システム:銀行と中央銀行
 第一節 国の通貨建てのIOU
 第二節 決済と債務ピラミッド
 第三節 金融危機における中央銀行のオペレーション:最後の貸し手
 第四節 銀行のバランスシート、銀行の貨幣創造、銀行間決済
 第五節 外生金利と量的緩和
 第六節 中央銀行と財務省の共同オペ、そのテクニカルな詳細
 第七節 財務省の債務オペレーション
 第八節 中央銀行と財務省の役割についてのまとめ


8. 中央銀行と財務省の役割についてのまとめ

ここまで見てきたように、中央銀行と財務省を統合するというシンプルな仮定から出発した(我々がよくやっている手だ)。次に、その仮定を外して両者の役割に注目した。そうすると複雑にはなるものの、「独立政府が納税を受け取るためには政府支出がなされていなければならないと」いう論理は不変だった。

政府の支出と銀行の貸出には類似の構造がある。政府の場合、納税者が納税のための通貨を使うことができるようにするために、あらかじめ支出(または貸出)をする必要がある。銀行の場合、その借り手が預金を使って返済するためには、あらかじめ預金を貸し出している必要がある。いにしえの昔は、政府は単独で財政政策にまつわるオペレーションを行っていた。文字通り通貨を支出し、それを徴税で回収していた。現代では政府は財務省と政府の銀行に責任が分割され割り当てられている。中央銀行制度だ。この政府の銀行は、政府の支払いを行い、政府への支払いを受け付ける。財務省は今もいくばくかの通貨を発行しているが、通貨はほとんど中央銀行に由来しているものだ(お札)。

ほどんどの財務省からの支払いは小切手か、銀行口座への振り込みで行われている。企業や家計が小切手(または口座引き落とし)で支払っているのとちょうど同じだ。
たいていの場合、中央銀行はさらに第二の機能を持っていると教えられる。「銀行の銀行機能」だ。銀行間システムを維持運用し、決済を行う。

中央銀行のバランスシートではこの二つの機能がリンクしている。ところで財政政策のオペレーションは分離され財務省が単独でそれを行っている。であるならば、民間の銀行は財務省に口座を持っている必要があるはずだ。複雑さの元凶がここにある。そうなっていれば、財務省は支出の際にそこに直接振り込んだり、徴税時には直接引き落とせることになる。こうしたとしても民間銀行は相互決済のため中央銀行に口座を持つ必要があることに変わりはない。

このように銀行は財務省と中央銀行の両方に口座を持っていた方が良いのわけだが、さて我々はFEDと財務省を本当に「分離」させていると言えるのだろうか。それでも「機能」はするが、その必要はないのでは? FEDを財務省の銀行として、そして銀行の銀行としても機能させ続けなくてもいいのでは? なにしろそれが混乱の元なのだ。つまりFEDは二つの機能を持っている。銀行の銀行、そして政府の銀行だ。このあたりのことが経済学者の頭に入っていれば、FEDと財務省の内部の経理について心配することなどとうにやめているはずなのだが。

FEDや財務省自身は自分たちが何をしているかを知っている。私たちはどうだろう。財務省は小切手を不渡りにしないし、FEDは目標金利を維持している。国債が不渡りになりそうだったら、議会は介入してFEDの議長の座を話が通じる人間に渡すだけだ。分離主義者はそれまでただ固唾を飲んでいるだけだろう。

最後に。プライマリーディーラーは約40あるが、これらは国債の競争的なオークションを成立させ金利をできるだけ低く保つために必要なプレイヤーだ。ディーラーがそう行動する理由は、主として彼らのクライアントが彼らとしか取引しないからだ。つまり、このことによってFEDはいつでも国債を売り支出のための準備預金を確保することができるのだ。自分を縛る「制約」は制約でも何でもない。「国債自警団」は存在しない。アンクル・サムに金を貸さないことによって支出を妨げるような存在など、どこにもいないのだ。