労働党の財政信認ルール
これはLABOUR’S FISCAL CREDIBILITY RULEの非公式な翻訳です.
- 労働党は,日々の支出のための財政赤字が5年を超えるようなことを終わりにします
- 労働党は,政府債務が5年前より減少することを保証します
- 労働党は,投資のためにのみ借り入れを行います
金融政策委員会(the Monetary Policy Committee)1 が,金融政策が役割を果たせない(「〔金利の〕ゼロ下限」)と決定した場合,この「財政信認ルール」全体を停止して,財政政策が景気を下支えできるようにします.金融政策委員会のみがこの決定を下すことができます.
加えて,予算責任局(Office for Budget Responsibility)が大蔵省ではなく議会に報告を行うよう法制化します.
詳しい説明
世界をリードするマクロ経済学者たちと影の内閣との議論に従い,私たちは財政信認ルールを労働党の財政に関する立場の基盤として採用することを決定しました.
労働党は確信しています.中長期的には,政府の日々の支出を賄うために借金しなくてよいようにすべきだと.例外的な場合には,民間部門で発生したショックを救済するために政府が介入しなければならないこともありますが,家賃の支払いを毎月クレジットカードに頼るような状況は変えなければいけないと皆がわかっています.
だから私たちは,経常支出に関する債務は常に5年で解消することを約束します.これは,過去5年の期間の2 経常収支を目標とする戦略の一部をなすものです.
私たちの未来の繁栄のためには,いずれ元が取れるような公共資本プロジェクトへ投資するために借り入れを行えることが不可欠です.労働党は,生産性を向上させて経済成長率を引き上げ,また短期的には需要を刺激する公共投資の必要性を認識しています.
だから私たちは財政赤字削減目標から公共投資を除外します.
また私たちは,政府の債務が維持可能な経路をたどることを保証したいと望んでいます.そのため私たちは,議会の会期終了ごとに,GDPトレンドと比較した政府債務の比率を会期の始めより低下させることを約束します.
私たちは,金融政策が通常の役割を〔金利の〕ゼロ下限のために果たせない場合のみ,私たちの財政目標を停止し,金融政策と財政政策が協調できるようにする権利を留保します.
GDP予測に基いた勝手な基準でルールを停止するのではなく,私たちはイングランド銀行金融政策委員会に権限を与え,必要性が明らかな状況では委員会が財政信認ルールを停止し,金融政策に加えて財政政策も協調させて経済を再起動できるようにします.
そして,これらすべてを監督するため,予算責任局を真に独立したものとし,大蔵省ではなく議会に報告を行うようにします.
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