Noah Smith のNGDP先物ターゲティング批判

以下は,TheMoneyIllusionより,”Noah Smith criticizes NGDP futures targeting” の翻訳です.

新しいアイディアを宣伝してる時にいらいらするのは,「ゾンビ」のように何度も何度も繰り返し出てくるおんなじ反対論を,何度も何度も射ち落とさなきゃいけないことだ.最近のポストで,Noah SmithはNGDP先物ターゲティングの性質を誤解したようだ(邦訳).(実際には,ポスト本文ではなくて,このコメントで.)(訳注:Noah Smithのポストの邦訳に左のコメントだけ抜粋して訳しました.)彼は,NGDP先物ターゲティングに「Goodhartの法則」が適用できると思ったらしい.NGDP先物価格と,期待NGDPの関係は,FedがNGDP先物価格を目標にし始めたら破綻するからだという.彼は,NGDP先物をbitcoinにたとえた.

Goodhartの法則を適用する上でまず明らかに問題なのは,今のところNGDP先物市場など存在せず,したがって破綻する関係などというものも存在しないという点だ.しかし,より大きな問題は,彼が,誰も提案していない政策を攻撃しているという点にある.彼はどうも,FedがNGDP先物価格を見て,その価格をターゲットに近づけるよう,Fedが政策を調整するんだと思ったようだ.しかし,こんなのは,Bill Woolseyや私が提案している政策とは違う.

FOMCメンバーが12人から13人に増えたと想像して欲しい.Goodhartの法則から予測すると,政策効果が薄れることになるだろうか?そうは思わない.14人では?15人なら?1億人ならどうだろう?

また,FOMCの投票者一人ひとりに,投票の正確さに応じて報酬を与えたらどうなるだろう.政策を,投票の中央値で決める規則にしよう.そして,「正確な」投票をした人により多く支払うことにしよう(すなわち,事後のNGDPが目標より上振れすれば,平均よりタカ派的な投票をした人に多く,逆の場合は逆に).これがNGDP先物ターゲティングのエッセンスだ.もちろん,実際の世界の仕組みはもっと複雑だ.私はもうすぐ論文を発表するが,それまでは,私の2006年のContributions to Macroeconomics論文や,このブログポストで十分だろう.

FOMCが助言を市場に求めるということではないのだ.実際は,FOMCはある意味で,完全にFOMC内部の判断にのみ頼る.FOMC外部の市場を見たりはしない.ただし,このFOMCは完全にオープンで,誰でも投票できるところが違う.FOMCが市場になるのだ.そして,投票者らが誤りを犯した場合は,自ら自身に責任を負う.この点が,政策担当者を恐れさせる理由だ.既存のFOMC メンバーのほとんどは,おそらく投票しないことを選ぶだろう,投票したら,自分の金を危険にさらすことになるからだ.それでかまわない.彼らはずっとNGDPが成長する速度を高く見積もり過ぎていた.何年連続でそうだったかわからないが.

投票してもらわなくてけっこう.

PS. Eval Saltasがよいコメントをくれた.

PPS. このアイディアをNY Fedで1980年代に発表した.反応はといえば,「どうもありがとう.でも,そのアイディアはいらないよ.NGDPをターゲット通りに保つ方法は知ってるから.市場よりうまく予測できるからね.」という感じだった.なんて傲慢なんだろう? Noah Smithのコメントが示してるのは,Narayama Kocherlakotaのような人たちは,やっと,このアイディアを検討し始めたってことだ.25年遅すぎるけど,やらないよりマシだと思うが,ずいぶん初歩的な段階で留まってるのにはがっかりだと言わざるを得ない.十中八九,Kocherlakotaは例の論文も読んでいない.