1937を繰り返さないために – FEDとBOJへの教訓 by Lars Christensen

http://marketmonetarist.com/ より、”How to avoid a repeat of 1937 – lessons for both the fed and the BoJ“(MAY 24, 2013) を緊急紹介してみる。


木曜日、日本の株価は7%を超える下落に見舞われた。今朝は3%戻したとはいえ、「何か」が間違いなく投資家たちを恐れさせている。

木曜日に人々がリスク回避に殺到した理由はたくさんあっただろう。しかし、おそらくその理由の一つはFEDと日本銀行が金融緩和を縮小しつつあるのではないかと投資家たちが心配し始めたから。私が連想したのは1937年に起こったこと- 市場参加者たちがFEDが金融引き締めの前倒しに動くかもしれないとパニックに陥った- これは1933年にFDRが金本位制を放棄して以来始まった米国経済の回復の最中のことだった。

1937年に入ってから米国政府の要人やFED理事たちがインフレ圧力を警戒する発言をし始め、金融政策が間もなく引き締めに入るという明確なシグナルとして市場参加者に伝わった。これにより米国の株式市場が不調に陥り米国経済は再び不況に叩き込まれた。これが有名な the Recession in the Depression だ。

この失敗の核心はFEDが1933年の金本位制離脱以来、はっきりした金融政策目標について一度も定義や明言もしなかったことにあった。この状況はさまざまな意味で今日と似ている。

市場参加者たちは、FEDは米国経済が「改善」したときに金融緩和を縮小するであろうとおおむね理解しているが、それが具体的に何を意味するかには確実なものではなく、FEDも依然としてその目標を明確にしていない。FEDの金融政策ツールについてもはっきりしないままだ。FEDはいまだにFFレート目標を第一の政策ツールと考えながら同時に量的緩和をしている。

私に言わせれば、これらの不確かさが米国の金融政策のスムースな波及を妨げている。FEDは「いつQEを縮小するべきか」という問題に注力するより、その目標に疑いの余地がなくなるまで説明を尽くすことに100%集中すべきなのだ。さらにFEDは金利を通じた金融政策という考えを捨てる必要がある。今こそFEDは金利でなくベースマネーが金融政策の鍵であることを受け入れる時だ。

これらの不確実さをFEDが除去するためのベストな方法は、とにかく明確な名目目標を打ち出すことだ。好ましくはただこう宣言すればいい。「向こう二年で名目GDPを15%引き上げ、その後は年5%の名目GDP成長させること(水準目標)を念頭に金融政策を運営する」と。

第二には、金融政策の手法を完全にクリアにするべきだ。一番いいのは名目GDPの先物だろう。それがどのように機能するかはここに書いている。もしくは各金融政策ツールの「反応関数」を詳しく明示する。ベースマネーを増減させるためにFEDはどのような資産を取引するつもりなのか。これは単純なことだが、これまでFEDは全くやってきていない。

クロダが総裁になって以来日本の金融政策はそれまでよりはるかにクリアなものになったが、それでも日本銀行はそのコミュニケーションのあり方を検討する必要がある。日本銀行は公式に2%のインフレ目標を採ったのだから、市場の期待、例えば向こう2年または5年(両方でも)のインフレ期待を”ペッグ”するということをアナウンスする。それには単純にブレークイーブンインフレ率が常に2%になるようインフレ連動債を売買することにコミットする、とアナウンスすればいい。これはご存じのとおりボブ・ヘッツェルがずっと以前にFEDで提案した枠組みだ。おそらく今こそ日本銀行はボブを招待する時だろう。

以上のようなことをすればFEDや日本銀行の透明性は劇的に向上し、市場は中央銀行が何を目標にしているか、あるいは、金融政策の設定を突然変更するのではないかということについてあれこれ心配する必要がなくなる。よって金融緩和の縮小は乱暴にならない形で実現できるだろう。1937年の失敗を繰り返す必要などないのだ。