日本の景気回復についての疑問点

以下はScott Sumner “A Japanese recovery?“(May 16, 2013)の訳です。誤訳等あれば指摘頂けると幸いです。5月19日追記:erickqchanさんにコメント頂き、修正いたしました。


最新の日本のGDPの数字はいささか不可解な点がある。

直近の四半期は、2011年3月から最低レベルに落ちていた企業投資を消費者支出や輸出がカバーする形となり、日本経済の成長率はここ一年で最も高かった。

内閣府の発表によれば、GDPは年率換算で3.5%上昇した。この上昇分のうち2.3%はGDPの60%を閉める個人消費が要因となった。日銀内部の議論に詳しい筋によれば、日銀は5月22日の政策決定会合の後、景気判断を上方修正する可能性がある。
(中略)
実質GDP成長は、ブルームバーグ調査による36の予想のうち2つを除いた全てを上回った。物価変動を調整していない名目GDPは、1.5%上昇し、これも過去一年で最も高い。その前の四半期からのインフレ率の上昇は0.4%であり、予想の中間値の0.5%を下回った。

いい面から述べると、日本における急速な名目GDPの上昇は、単に同じ割合でのインフレに繋がるわけではないという私の主張をこれは明らかに裏付けている。しかし、マット・イグレシアスがちょうど指摘するように、需要側のフレームワークにとっては少し出来過ぎ(訳注:インフレ率が低すぎて)ている。名目GDP成長の高まりは実質GDPとインフレの両方を高めるはずだ。

ただ、私は読者にこのデータに大騒ぎして欲しくない。2008年の景気後退以前の15年間に渡って日本の名目GDPは基本的に一定(1%の実質GDP成長とマイナス1%の物価変動)であったことを思い出してほしい。名目賃金上昇がほとんど見込めない状況下の貨幣幻想が、今に至るまで日本の雇用と産出をじわりと抑え込んでいたと私は考えているが、日本の労働市場も大部分名目GDPの低成長に順応していた。

標準的な期待に基づいた自然利子率モデルを用いる場合、日本における1.5%の名目成長率はアメリカにおける6.5%の名目成長率と似たようなものとなる。つまり、「通常」よりも1.5%高いということだ。もし、アメリカが1四半期において突如として1%のインフレ(通常の2%よりも1%低い)と5.5%の実質GDP成長率からなる6.5%の名目成長率を得たとしたら、大部分の人は低インフレにやや驚くことはあっても、これをしっかりとした総需要の証と思うだろう。換言すれば、

1.日本のデータはアメリカの視点ではなく、日本の視点で見なければならない。

2.四半期での数字はかなり上下する。

私はこの指標がアベノミクスが機能していることを一定程度は示すものと考えるが、日本の実質成長がこのまま3.5%を維持することは出来ないとも確信している。ただ、名目GDP成長の高まりは日本の債務状況をわずかに改善する。

最近とても忙しく、エントリを書く暇がない。過去のコメントはこれから読むつもりだ。

  • http://twitter.com/prisonerofroad prisoneronthewater

    お疲れ様です。瑣末ですが一応、

    「依然として日本の雇用と算出をじわりと押さえ込んでいる。」

    算出は産出ですね。

  • 227thday

    訂正いたしました。ご指摘ありがとうございます。