「金融緩和の主要な経路 ~肝心なのは内需~」 by Matthew Yglesias

以下は、Matthew Yglesias, “Monetary Stimulus Is About Domestic Demand Not Exports and ”Competitiveness””(Moneybox, May 13, 2013)の訳。


大胆な金融緩和に乗り出した国では通貨が大幅に減価する(為替安になる)傾向にある。この事実を受けて、「金融緩和、それも特にゼロ下限制約下における金融緩和は為替レートひいては輸出を通じてその効果を発揮する。金融緩和を通じた輸出の増加はその性質上小国だけないしは一度に一国だけが享受できる[1] ような類のものだ。」との意見が語られることがある。しかしながら、ラルス・クリステンセン(Lars Christensen)がこの優れたエントリーで示しているように、そのような意見は過去の歴史(事実)と合致しない。1933年のアメリカや2002年のアルゼンチン、そして現在の日本のいずれのケースにしろ、(金融緩和を通じた)景気回復の主因は国内需要(内需)の増加に求められるのである。

どうしてそう言えるのかについては次のように考えてみればいいだろう。(インフレ期待が高まるなどして;訳者挿入)価値の貯蔵手段として貨幣の魅力が低下すれば、人々は価値を貯蔵するために貨幣の代わりに何か別のものを取得しようと試みるだろう。その候補の一つとしては株式があげられるだろう。別の候補としては長持ちする財を購入するという選択もある。例えば、新車やボート、冷蔵庫などを購入したり、住宅を改修したりキッチンを改装したり、といったことである。長持ちする財の購入は消費や住宅投資の増加として表れることになる。また、貨幣と交換に株式が購入され、株価が上昇することになれば、企業が株式の発行を通じて資金を調達することが容易になったり(実際のところは企業がこのような動きを見せることは稀だろうが)、手元の自己資金を自社株買いに回すよりも新規の設備投資のための資金として活用する方が理にかなうようになるだろう。株価が上昇すれば小規模企業の株式取得も容易になり、これもまた直接的・間接的に設備投資の増加につながり得るだろう。

(金融緩和により為替が減価すれば;訳者挿入)もちろん輸出も増加するだろう。しかし、ここでも重要であるのは、輸出の増加により輸出業者の所得が増えると彼らが国内で購入する財が増える(国内消費が増える)とともに、海外からの需要に対応するために輸出業者による設備投資が増える、という点である。つまり、どこをきりとっても最も重要なのは国内需要の動向なのだ。

  1. 訳注;すべての国が同時に輸出を増やすことはできない、ということ []