大恐慌 → インフレ → バブル(以下略)

以下はScott Summner, “Generation Depression –> Generation Inflation –> Generation Bubble“の訳です。2012年12月のエントリーですが、the Economistの記者も最近触れていたので。


人々は政治経済的な思想を若いときに形成し、50代も終わりかけた頃に権力を得る。1930年代の思慮深い人々であれば誰でも、1960年代に何が間違っているのかあっさりと予測することができただろう。大恐慌(the Great Depression)の期間に育った世代は、大量の失業を防ぐために総需要を増やすことをただひたすら唱えた。彼らは全ては需要の問題だと考え、供給側には目を向けない。その結果、1961年の「自由の季節 (Liberal Hour)[1]」は大インフレ(the Great Inflation)に陥った。

1970年代の思慮深い人であれば誰でも、2000年代の政策的誤りをあっさりと予測できただろう。1970年代に育った世代はインフレの恐怖に取りつかれ、マネーサプライの急上昇、利子率の急落、商品価格に端を発する物価のちょっとした急上昇などがあればすぐさまインフレの到来を唱えた。1970年代世代(私も含まれる)は、利子率がゼロまで下落し、伝統的な金融政策が効かない状況にまで名目GDP成長が押し下がらないうちは、過剰反応を続ける。インフレ・ターゲットは大景気後退(the Great Recession)に陥った。

現代の若者は二つの巨大なバブルが幅をきかせた世界に育った。これがどれだけ特異なことであるか、1998年まで経済学者たちがバブルに対してほとんど何の注意も払わなかったことを考えればわかるだろう。そもそも効率的市場の幻想(EMF, Efficient Market Fallacy)によれば市場は効率的だとされていたし、1998年時点の政策決定者たちは不動産バブルなんてものは過去60年間経験しておらず、GDP成長にほんのわずかの変化さえ起こさなかった1987年の株式バブル崩壊があったのみだ。バブル?それがどうした?といったところだったろう。

今日の思慮深い人たちであれば、バブル潰しに取りつかれた高齢に近い政策決定者によって2040年のマクロ経済政策の失敗が引き起こされることを予測できる。そして起こるべきであろうバブルの何と多いことか! 来たるべきアジアの世紀は大量の貯蓄(tsunami of savings)と人口増加の停滞をもたらし、実質金利を超低水準にまで押し下げるだろう。バブルが次々生まれるのには完璧な状況だ(もちろん私はまだ効率的市場仮説(EMH, Efficient Market Hypothesis)を信じており、私がバブルいう単語を使うときは常に所謂(scare quotes)という意味での「バブル」のことだ。)。そう、バブルはマクロ的な不安定を引き起こさない。問題はバブルがそれを引き起こすだろうと思われていることだ。

現在のところ、将来の有害な政策決定者はまだ若く―胎児のようなものだ―私たちのいる大学で院生をやっている。しかし彼らもいつの日かは権力を得るのだから、気を付けることだ。

ああ奇奇怪怪。

追記:
多くの人がFree exchange内のM.C.K.のポストを送ってきた。これが名目GDP目標に対する非難だと感じた人もいるが、私は擁護的だと思う。というのも1990年代後半においてはグリーンスパンが実際に行ったことよりも、名目GDP目標のほうが優れていたという可能性を指摘しているからだ。しかしこのポストの中では、生産性が高く成長している局面では中央銀行が名目GDP目標をやめてしまう可能性があるという懸念についても述べてられている。私はそのようには考えていない。もし中央銀行が名目GDP水準目標(NGDPLT)をターゲットにするのであれば、彼らは非常にうまく目標を達成するだろう。

追追記
若いオーストリア学派経済学者たちが試験管の中で、チャンスを今か今かと待ち構えているSF映画を想像してほしい。
それとも新貨幣国定主義者(MMTers)[2]たちのほうが適切か?

  1. 訳注:ここで念頭にあるのはガルブレイスの著作「The Liberal Hour」だと思います。
  2. 訳注:Modern Money Theoryについてはhimagryさんのこの記事などが分かりやすいと思います。