「研究のインセンティブ ~みすぼらしいパフォーマンスと世間からの高い評判~」 by Garett Jones

以下は、Garett Jones, “Research Incentives: Milton Friedman on the Fed”(EconLog, December 11, 2012)の訳。


カネ(金銭的なインセンティブ)は研究の結果に影響を与えるのだろうか? 医薬品の研究・開発をめぐってこの質問が問われることはよくあるが、この質問は貨幣経済学(monetary economics)の研究に関しても確かに関連のある質問である。FedやECB、BOEといった中央銀行は、多くの雇用機会を提供しており、多くのカンファレンスのスポンサーともなっており、多額の謝金を支払ってもいる。貨幣経済学の研究者らが「飼い主の手に躊躇なく噛みつく[1] のはちょっと・・・」とためらいを感じるということはあるのだろうか?

私の同僚でもあるデイビッド・レヴィ(David Levy)がかつてミルトン・フリードマン(Milton Friedman)からまさにこの話題に関わる手紙を受け取ったことがある(その手紙のコピーを見るにはこちらをクリックしてもらいたい)。

フリードマンの手紙のキーとなる部分を引用しよう。1993年にフリードマンはこう語っている。

・・・私の信じるところでは、FRBは貨幣に関して専門的に研究している経済学者のおよそ半数を直接雇用しています。・・・まさにこの事実こそが、これまでのみすぼらしいパフォーマンスにも関わらず、FRBが世間から高い評判を得ている主たる理由である、と私は確信しています。

またまた私の同僚であるローレンス・ホワイト(Lawrence White)はFedの潜在的な影響力を測る別の指標に着目している。Econ Journal Watch誌で、ホワイトは、貨幣経済学分野のトップジャーナルのエディターのうちどの程度がFedとの間に雇用等の何らかの組織上のつながりを持っているか(あるいはかつて持っていたか)を集計したのである。その結果はというと・・・もうおわかりですよね? 結果が気になる読者のために、ホワイトの論文のリンクを貼っておこう

ホワイトの論文は次のような非常に巧みな文章で締め括られている。

Fedがスポンサーとなっている研究は一般的には学術的に見て高いレベルの水準を誇っているが、だからといって、その内容が制度的なバイアス[2] から無縁であるとか、その内容にバイアスがないかどうかを吟味する必要は一切ない、ということにはならないのである。

  1. 訳注;中央銀行の政策に対して遠慮のない批判を加える、という意味。 []
  2. 訳注;中央銀行(この場合はFed)が現在進行形で採用している政策に対するあからさまな批判を避けようとするバイアス。ホワイトの論文では現状維持バイアス(status quo bias)とも呼ばれている。 []