金融政策と日本における流動性の罠 by Lars E.O. Svensson

Lars E.O. Svensson,  Monetary Policy and Japan’s Liquidity Trap ( Pdf file, Jan 2006 version  ) 

アブストラクト部分。Svenssonは為替政策って物価水準目標とセットでないと効かないと言っていた気がしたのでとっさにここだけを訳出。


日本の長い景気低迷期間の金融政策は基本的に、低金利(1995年から)・ゼロ金利(1999年から)・量的緩和(2001年から)で構成されてきた。その意図は、将来の金利への期待を下げることにあったと見られる。しかし流動性の罠(中央銀行の操作目標金利が非負制約に強く制約される)の問題があるときには、民間部門の将来の物価水準への期待を高める方がよい。既に非常に低い将来の金利への期待をさらに下げるよりも、将来の物価水準の期待を高めた方が、実質金利を下げ経済を活性化して流動性の罠から脱出させるためにはかなり効果的だろう。それゆえ、流動性の罠の下における金融政策の選択肢は、それが民間部門の将来物価への期待にどれだけ効果的に働きかけるかで評価されるべきである。将来の高物価期待があれば、通貨は減価するだろう。量的緩和が永続的なものと予想されていれば、将来の高物価期待を導いているだろう。しかし円が減価していないことなどの証拠は、量的緩和が永続的なものでないと見なされてなされていることを示している。解放経済下において、「フールプルーフ法」(物価水準目標経路・通貨の減価・固定相場へのコミット・物価水準目標が達成されるまでのゼロ金利)が、将来物価水準を高め、経済を活性化し、流動性の罠から脱出するための最も効果的な政策だろう。それは日本の停滞とデフレを終わらせる最善な政策である。次善の政策は、明示的な為替レート政策のない「フールプルーフ法」で、つまり物価水準目標と、物価水準目標が達成されるまでのゼロ金利へのコミットメントの組み合わせである。通貨政策と、インフレ率がプラスになるまでのゼロ金利へのコミットメントの組み合わせはせいぜい三番目の政策である。それ(訳注:この政策)はインフレ率がプラスに転じる前に始まっているデフレに順応してしまい、それゆえインフレ期待を作り出すには効果的ではない。