「大阪市長が守旧派を怯えさせる」from The Financial Times

以下の文は、The Financial Times,”Osaka mayor has old guard running scared“の翻訳になります。誤字・誤訳の指摘はコメント欄にお願いします。


By Mure Dickie in Osaka

日本西部の港町大阪はいつもと変わらない朝だというのに、無遠慮な市長橋下徹氏の登庁に合わせて、彼の最新の考えを聞こうとする30人以上ものジャーナリストやカメラクルーが大阪市庁の廊下に殺到していた。

橋下氏は期待を裏切らない。この早口の元弁護士は20分間も市政や政治的戦略そして教育改革について長々と述べ立てた。その過程で、彼は日本最大の新聞の内二つを批判してみせた――毎日新聞には一面記事が「ちまちましてる」、朝日新聞にはその与党への弁護が矛盾していることを「ヒトラーでも恥じ入るだろう」と。

橋下氏のぶっきらぼうなトークを聞こうとしているのは大阪市民だけではない。半年前の日本の与党と最大野党に支援された候補者に対して驚くべき当選を果して以来、この市長はその国でもっとも人気のある政治家の一人であり、国政においても潜在的な対抗勢力になっている。

支持者は橋下氏の登場により、日本経済を復活させ、その国際的地位を取り戻すことのできる決断力のある政治的リーダーと長く遅れた改革が可能になると見ている。懐疑的な人は、よく引用されるスピーチで日本の政治にもっとも必要なのは「独裁者と呼ばれるほどの強い力」だと宣言したこのポピュリストのナショナリストにやきもきしている。

深刻なほど不人気な与党民主党とそれよりほんの少しだけ支持率が高いライバル自由民主党の政治家は怯えるようになっている。その中には、橋下氏に率いられた新党は次の総選挙で相当の議席を獲得して、ねじれ国会の中でキャスティングボートを握ることになると言う人もいる。行政機構をスリム化することにより大阪市の赤字を解消しようとする彼の方針はアメリカのティーパーティー運動をほうふつさせる。

少年的であえて形式にとらわれない橋下氏は確かに改革をする意志を持っているように見える。

彼はすでに大きな障害を克服している。経済的に苦しいたシングルマザーに育てられたものの、猛勉強と天性の資質により、彼は名門早稲田大学へと進み、弁護士の資格を取得した。去年の当選は、選挙期間中にもかかわらず、彼の父が日本のマフィアであるヤクザの一員であることが暴露された中で達成された。そのニュースは橋下氏にとっても驚きとなるものだったが、彼も有権者も関係ないこととして無視した。

彼の新しい政党は日本語で維新の会(restoration association)と呼ばれており、それは日本を近代国家に変革した1868年の明治維新から取られている。その目標には直接選挙によって総理大臣を決めることができるように憲法を改正することも含まれている。

そういった主張は、差し迫る経済的そして戦略的難題に対処するのに四苦八苦している政治システムに対して橋下氏が我慢ならないことを反映している。だが、それこそが日本でも中国や韓国などの隣国でも、1930-40年代の日本軍国主義の復活を呼び起こすあらゆるものに敏感になっている人々を心配させている。

橋下徹 改革者か壊し屋か――日本で最も熱い政治的現象に関して最近多数出版されている本の一つ――の著者、吉冨有治氏はこの市長が民主主義を強奪する意志を持っていると信じる理由はないと見ている。実際には、橋下氏は合理的で異なる意見にも進んで耳を貸す柔軟なリーダーだと、彼は言う。

だが、吉冨氏は、橋下氏の提案した改革が将来の独裁者に対する備えを弱める可能性があると心配している。吉冨氏は「彼はファシストではない。だが、彼はファシズムへのドアを開く可能性がある」と言う。

橋下氏の近しい盟友であり、去年11月の選挙で大阪府知事になった松井一郎氏はそのような懸念を否定する。彼らの新しい政治グループは既得権益に打ち勝ち、しばしば痛みの伴う改革を実行するために国民の意思を問いたいだけだと、松井氏は言う。

そして、松井氏は行政機構の変更には国会の承認が必要となることは認めているものの、彼も橋下氏もそのために国民の意思を問う選挙があるまで待っていられないと言う。

その代わりに、彼らは府や市の他の政党によって遅れていた改革を共に推し進めようとしている。松井氏は「中央政府の決断がなくてもできることがたくさんある」と言う。

橋下氏や彼の盟友にとって、多くのことは彼らが物事を実行することができることを証明できるかにかかっている。大阪で失敗すれば、この新たな挑戦者の魅力はその光を失うことになるだろう。

元経済産業省審議官であり橋下氏のアドバイザー、古賀茂明氏は市長の直接的なスタイルに感嘆していると言う――だが、そういった手法はもっと排他的な国会では失敗するかもしれないとも言う。

政治的サークルの中でも将来の国家的リーダーの登場に関する話題が飛び交う中にあっても、市長は、日本の有権者がどれだけ移ろいやすいか厳しく用心していると古賀氏は言う。

古賀氏は言う「彼は個人的にはその人気が長続きするのか、そうじゃないのかに非常に懐疑的に見てます」

  • Atsushi Tomita

    クソ記事