「FRBはインフレターゲッターか?」バーナンキ記者会見より 1/25/2012

1月25日のバーナンキの記者会見の記録の21ページから22ページより。

パトリック・ウェルター:議長、the Frankfurter Allgemeine Zeitungのパトリック・ウェルターです。短い質問が二つあります。あなたの前任のグリーンスパン氏はかつてインフレ率—長期的なインフレ率—のゴールについて彼個人の意見としては適切に計測されたものならばゼロ%がゴールとなるだろうと言いました。これと本日発表された声明で言及されているインフレ率のゴールと比較していただきたい。二つ目の質問は本日の政策決定によって、FRBはスウェーデンやノルウェイの中央銀行のようなインフレターゲッターのようなものに近付いているのでしょうか?それとも例えばECBのような、なんらかのインフレゴールをもつものの厳密にはインフレターゲッターではないのでしょうか?

バーナンキ議長:大変良い質問ですね。物価の安定を文字通り解釈するとインフレ率はゼロということになります。しかし、それが適切とはいえない可能性を示すいくつかの技術的な理由があります。おそらくなんらかの計測バイアスがあり、また計測されたインフレ率がゼロ以上であることが物価の安定と整合的になるといった議論があります。しかし、これまで頻繁にお話ししてきたように、FRBは我々の物価の安定という責務の両サイドと整合的となるように目標となるインフレ率を設定します。そして2%という数値は家計や企業活動の金融計画や経済活動計画に対してだけでなく、雇用についても大きく阻害しないと信ずるだけの十分低いものであります。

ターゲットをゼロとした場合に起こりうる状況を考えましょう。まず、私たちは概ね半分の時間、少なくとも十分に多くの時間をデフレで過ごすことになるでしょう。そしてデフレが経済活動や雇用について害悪となりうるたくさんの例を見てきました。よってインフレターゲットをゼロにセットすることは我々の責務のひとつに反することとなるでしょう。同時にこれに関連してゼロインフレ率は名目金利が非常に低い水準—2%から3%—に留まりうることを意味するでしょう。そしてそのことは今日我々が陥っているような短期名目金利がこれ以上引き下げられない状況になるリスクが増加するでしょう。ですから、私は二つの責務の観点から2%以上のインフレを達成することには正当な理由があると思います。さらに、みなさんもご存知のとおり世界の中央銀行をご覧になれば、彼らが名目的なインフレターゲッターであるか否かを問わず2%という数値がほとんどの中央銀行が使う基本的な数値であります。ECBや他の多くの中央銀行は2%、もしくは2%を中心としたレンジを使っています。よって(私たちの今回の発表は)他の多くの中央銀行が行っていることと違いは全くないのです。

さて、私たちはインフレターゲッターでしょうか?もし「インフレターゲッター」という言葉が雇用といった他のゴールを補助的なゴールとし、インフレにトッププライオリティを置く中央銀行を意味するならば答えはノーです。FRBは二つの責務を負った中央銀行です。私たちは物価の安定と雇用の最大化を等しく重要視しています。これらが議会によって与えられたゴールなのです。ですからその観点において、先ほどグレッグに述べたように、私たちは絶対主義者ではありません。インフレ率がターゲットに戻るスピードを少しばかり遅らせることが雇用の回復により良い効果をもたらすならば、それは我々が喜んで行うことであります。とはいったものの、自らをインフレターゲッターと呼ぶ中央銀行でさえも、雇用や成長、金融システムの安定など経済の他の部分についても少なくとも幾分かの注意を払っている、ということは指摘しておくべきでしょう。なので私はインフレのみにフォーカスする中央銀行というものは存在しないか、あるいはほとんど存在しないと思います。しかし繰り返しますが、用語の使い方という意味においてFRBはその用語(インフレターゲッター)を受け入れることはないでしょう。なぜなら私たちは物価安定と雇用最大化という二つの責務に同等の注意を払って行くからです。

  • http://twitter.com/buri17 MIURA Toru

    翻訳お疲れ様です。

    「 それとも例えばECBのような、なんらかのインフレゴールをもつものの厳密にはインフレターゲッターではないのでしょうか?」

    「 それとも例えばECBのような、なんらかのインフレゴールをもつものの厳密にはインフレターゲッターではないものに近付いているのでしょうか ?」
    ではないでしょうか?

    あと、

    「しかし、これまで頻繁にお話ししてきたように、FRBは我々の物価の安定という責務の両サイドと整合的となるように目標となるインフレ率を設定します。」

    ですが、”both sides of the mandate”は他の部分と同じように”dual mandate”を指すのだと思います。挿入部
    “and 2 percent is low enough that we believe that it’s not going to extensively interfere with financial planning and economic planning on the part  of households and businesses”
    を除けば

    「物価の安定だけではなく雇用にも配慮するという我々の責務の2つの側面と整合するようにインフレ目標を設定します。」

    と訳せます。挿入部は後に付けるのはどうでしょう?
    たとえば、

    「物価の安定だけではなく雇用にも配慮するという我々の責務の2つの側面と整合するようにインフレ目標を設定します。物価の安定については、我々は2%という数値は、家計・企業部門における金融計画や経済計画を大規模に阻害しないと考えています。