金融引締めが住宅バブルの一部を担った? by Scott Sumner

サムナーブログから、”Did tight money cause part of the housing bubble?“(12. January 2012)です。 


 多くの人が金融緩和が住宅バブルの要因だったと主張してきた。ほとんど賛成できない。なぜなら別段に金融緩和がなされていたわけではなかった。念のためだが、もちろん私も2004-06にかけて二度の上昇があったことを認めないわけではない。NGDP成長が5%を上回ったことによる上昇だ。しかしNGDP成長は異常ではなかったし、同じような他の時期には住宅バブルは見当たらない。 

一方、金融引締めがバブルを引き起こしたと論じる人がほとんどいない。「ほとんど」と言わなくてもいい。チャレンジより大好きな私のこと、そう主張してみようではないか。正確に言えば、金融引締めがバブルの原因の一部、おそらく半分だったと主張したい。 

最初に「バブル」とはどういう意味であるかを決めなければならない。これは多くの人に賛成だ。洗練された人々は「バブル」を市場の非効率に関連付け、効率的市場仮説からの逸脱であると定義する。しかし市場は効率的だと信じている私はこの定義は採れない。それではバブルがなかったと論じることになってしまう。よって伝統的な定義を採る。 

私の見るところバブルの上昇局面だけが注目され過ぎるのだ。住宅価格は1970年代にも急上昇したのに誰もこれをバブルとは呼ばない。マイクロソフトの株価は1990年代に急上昇したが、これもバブルではない(2000年だけはおそらく例外)。その理由は? 崩壊しなかったから、だ。住宅価格は1980年代も上がり続けたし、マイクロソフトの株価は常にものすごい時価総額を維持し、そこで上下動してきた。つまりバブルと呼ぶためには大きく上がった後に急落することが必要なのである。 

私が次に何を言うか、もうお分かりだろう。あの住宅価格下落の後半は2008年暮れの強い金融引締め政策によるものだと私は考えている。この引締めによって2008年半ばから2009年半ばにかけてのNGDP成長はトレンドを9%下回った。住宅価格下落の前半は「他の要因」、たとえば移民の厳格化や住宅市場参加者の見込み違いなどによるものである。 

世界の住宅価格のトレンドを見れば私の主張が分かりやすくなるだろう。 

 

 このグラフはいろいろな国の実質住宅価格だ。読み取るのが大変なのでコメントすると、灰色で表示されている米国の住宅価格は約50%上昇して2006年の初頭にピークに達しその後もとの水準まで下落している。人々は住宅の実質価格の大上昇は2006年半ばの価格が高すぎたことを示しているのだと考えるが、それは間違いだ。「上がったものは必ず下がる」と言うが、そうではない。ほとんどの国々では実質住宅価格が2006年以降横這いであることがわかるだろう。 

もっと注意してパターンを見ると、海外の実質住宅価格は2006年以降も上がり続け、世界中のNGDPが急落した2009年に下落していることがわかる。つまり海外市場(アイルランドとスペインはおそらく除くべき)は2006年に米国を直撃した問題の影響を受けていない。米国以外の市場で起こった下落は、米国が2008-09年に下落を続けたのと同じ理由で起こった。NGDPの下落だ。 

米国はNGDPが下落していなかったとしても、住宅価格は2006-07年にそこそこ下落しただろう。しかしこのように明白なバブルとはならなかっただろう。 

価格が頂点で横ばいになるのをバブルと呼ぶ人はいない。ユージン・ファマ以外の人々は、価格が元の水準にまで下落したときにバブルと呼ぶのであるから。そこそこの下落は「ボーダーライン・バブル」だ(私の故郷、ニュートンでもこれは起こった)。 

2008-09年の金融引締めはボーダーライン・バブルを大バブルに育てた。まるでフィリビンの火山のような
美しい対称形になっている米国の価格の要因は半分は実質要因でもう半分は金融引き締めによる。 

これは英語を話す他の4つの経済と米国を並べたグラフ。 

 

米国でピークとなった2006年初頭以来、これらの国々ではずっと横ばいになっている(二つはやや上向きで一つはやや下向き)。価格とは常に変動するもので、誰もこれらの例を「バブル」とは考えない。この4か国では皆、今も実質価格は非常に高水準だ。 

2006年に住宅を購入した人々が、米国の住宅価格はこのカナダ・英国・オーストラリア・ニュージーランドのようなパターンを描くと予想したことが「明らかに不合理だった」とする理由が私にはわからない。しかしそう感じるのは地上で私とファマだけのようだ。住宅価格については皆がそれぞれ自分の周りの人々が完全に不合理なのだと確信している。しかしもし住宅価格について「みんな」が合理的でないなら、市場が明らかに合理的でないとする「みんな」の見方を私が受け入れる必要はない。同居者の誰が精神障害だと思うかを精神病院の住人に聞き取り調査するかい?


 訳者独自コメント: 日本の「バブル崩壊」については、ぜひJ_Coffeeさんのこちらなどを。そして、今も続く、その後の住宅価格の継続的な下落の原因は??

  • http://twitter.com/buri17 MIURA Toru

    “Most people mean a sharp rise in prices, followed by a big decline. “の訳が抜けているようです。