テイラールールの「危機」の持つ7つの顔 (第2.4節) by James Bullard

2.4 不連続なルール

もし問題が意図せざる定常状態という二つ目の定常状態の存在であり、またこれが部分的にでも当局によってコントロールされている政策ルールの選択によるのであるならば、なぜ違う政策ルールの採用を排除する必要がある?もちろんないのだ。そしてそれらはBSUのオリジナルで議論されている。さらには現在の政策論議のある部分はこの方向でなされているのだ。

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図4:不連続なテイラータイプルールは異様に見えるが、意図せざる定常状態を排除する

図1で示された問題は二つの線によって簡潔に示されている。一つは政策を表し、もう一つは民間部門の行動を表していて、2カ所で交差する。しかし、政策ルールは当局によって変更することが可能だ。シンプルなバージョンを図4に示した。ここで非線形なテイラータイプルールはインフレ率50ベーシスポイントまで維持される。それ以下のインフレ率では金利を1.5%フラットに設定している。これはインフレ率が-1.0%から0.5%までの区間に示された太い黒線で表されている。非常に低いインフレ率のもとでは、この政策はゼロ以上に設定されるが、十分に心地よいレベルに抑えられている。結局のところ、1.5%の短期名目金利はほとんどいかなる状況でも積極的な緩和政策と考えられるであろう[1]

もちろんこの政策は異様に見えるが、ひょっとしたらそれを擁護する人もいるかもしれない。しかし繰り返すが、ここで必要とされていることは、図の南西に位置するマルが実現することを避けることなのである。不連続な政策は意図せざる定常状態の存在を消す非常にシンプルな方法だという大きなメリットがあるのだ。図の中でフィッシャー関係式と政策ルールとの交点はターゲット定常状態のみになっている。これによって意図せざる定常状態が経済にとって重要なものでなくなるのである[2][3]

厳密にはこの文脈ではないものの、このタイプの政策は一部で真剣に検討されている。FOMCのゼロ金利近傍政策と付随する「長期にわたる」コミュニケーション作戦は、結果的に非生産的なバブル的な現象を新たに生むという懸念を多くの識者にもたらしている。この懸念に対する一つの対処法はいくらか金利を引き上げ—それでも歴史的には非常に低いレベルに—そのレベルにしばらく留めおくことである。この政策は図4に示した政策とは異なる目的を持つものの似た香りのするものである。

  1. 訳注:この一文で中央銀行家の考え方がいかに偏っているか、また歴史に学ぶ気がないかが分かる。大恐慌を研究したフリードマンの指摘は見た目上低い金利の時こそむしろ引き締め気味である、というものだったのだが。景気動向や実質金利といったものには何の配慮もないように見える。 []
  2. 後に説明するように、意図せざる定常状態を避けるための財政政策の活用に関するアカデミックな研究も同じ目標を有している。しかし、財政政策の経路はもっとずっと複雑である。 []
  3. 二人の明敏な研究者—Costas AzariadisとJess Benhabib—は共に不連続な政策は準定常状態(psuedo steady state)を生み、ターゲットへ収束するのではなく準定常状態の周辺を振動する可能性を指摘している。私の知る限り、この文脈での研究は盛んではない。 []