「マンキューへの質問」 by David Beckworth

以下は、David Beckworth, “Questions for Greg Mankiw“(Macro and Other Market Musings, May 8, 2011)の訳。ポール君に賛同しているグレッグ君に質問を投げ掛けるデイヴィッド君、という何だかややこしい構図になってますが、それにしても、デイヴィッド君もといベックワースも最後に述べているように、グレッグ君もといマンキューから回答があれば幸いですね。


グレッグ・マンキュー(Greg Mankiw)が自身のブログ(邦訳はこちら)でリカード・レイス(Ricardo Reis)との共著論文(pdf)に言及している。この論文では、「中央銀行はどの物価指数(インフレ率)をターゲットにすべきか?」という問題が検討されているが、結論として以下のような見解が述べられている。

経済活動の最大限の(可能な限りの)安定化を目指そうとするのであれば、中央銀行は、名目賃金の水準に大きなウェイトを置くような物価指数をターゲットにすべきである。

この論文では名目賃金(に大きなウェイトを置く物価指数)をターゲットに据えることの利点がいくつか述べられているのだが、ここでちょっと指摘させてもらいたいことがある。それは、名目賃金の安定化と1人当たり名目所得の安定化とは同義であり、それゆえ名目賃金(に大きなウェイトを置く物価指数)をターゲットに据えることと名目所得あるいは名目GDPをターゲットに据えることとの間にはそれほど大きな隔たりはないのではないか、ということである。なぜわざわざこんな指摘をするかというと、マンキューはロバート・ホール(Robert Hall)と共同で執筆した1994年の論文(pdf)の中で名目GDPターゲット-特に、幅広い合意を得た名目GDPの水準に関する予測(the consensus forecast of the nominal GDP level)をターゲットに据える名目GDPターゲッティング-を褒め称えているのである。

というわけで、ここでマンキューに質問である。マンキュー、今現在あなたは名目GDP水準ターゲットに関してどのようにお考えだろうか?(賛成の立場なのか、反対の立場なのか、それとも・・・?) もし1994年当時と変わらずに依然として名目GDP水準ターゲットに賛成の立場だとしたら、名目GDPは危機以前のトレンドにまで回復、あるいは、少なくとも現在の水準よりは高い水準にまで上昇する必要があるとお考えだろうか? これらの質問は単なるアカデミックな関心事にとどまるものではない[1] 。というのも、まず第1に、アメリカにおける貨幣需要は高止まりしたままであり、その結果、名目支出は低迷し、いかなるもっともらしいトレンドをも下回ったままである。名目GDP水準ターゲットは、長期的な名目支出に関する期待の安定化に貢献すると同時に、今現在アメリカが抱える問題を解決する上でFedに有意義な力を与えることにもなるだろう。第2に、アメリカ議会の中からFedの裁量(あるいは権限)を狭めることを求める声がちらほらと聞こえてきているが、私がこの記事で主張したように、名目GDP水準ターゲットはFedの裁量(あるいは権限)を狭める上でも好ましい方法なのである。

私の質問に対してマンキューから回答がいただけたら幸いである。

P.S.  私の立場をはっきりさせておくと、私は名目GDP水準ターゲットの大ファンである。

  1. 訳注;現実との関連が非常に大きな質問でもある、ということ []