マネタリズム>>>>ニューケインジアニズム(その理由はクルーグマンが) by Scott Sumner 

スコット・サムナーのブログから “Monetarism >>>> New Keynesianism (and Paul Krugman tells us why)“ (2. March 2011) を翻訳紹介します。

NGDP派の以下の主張を念頭に置くと吉かもしれません。

  • 名目期待の変化は、ラグなく実質に表れる。(例:QE2正式発表前のFed理事の発言が直ちにBEIを上昇させたこと)
  • (上と同じことだが)不況時の高い失業率は、金融政策で総需要(期待名目GDP)を安定化することにより直ちに自然失業率に向かい始める。つまり金融政策のサポートがない雇用対策は意味がない。
  • 2010年夏以降の景気回復はもちろん金融政策の効果が大きい。

マクロに対する私のアプローチは常に「名目のショックは実質に影響を与える」というもの。だからケインジアン達の「景気の過熱によるインフレ」とか「不況によるディスインフレ」というものの見方を気にしたことはない。もしそれが正しいなら「実質のショックは名目に影響を与える」ということになる。つまり実質GDPの変化がインフレ率に影響する。それが正しいとは思えない。

ミルトン・フリードマン(とアーヴィング・フィッシャー)はフィリップス曲線を私と同じこのやり方で翻訳した–デフレが失業を作り出すのであってその逆ではない、と。私は星霜を重ねてこの見方を少し改良し、今は名目ショックをNGDP成長の変化として見ている。これはケインジアンの見方とはどう違うのか?

Mankiw and Reis (2006)は現代ビジネスサイクル理論の「三つのキーファクター」を定義してる。

  1. “加速現象 . . . インフレ率は好況の時に上がり、不況の時に下がる傾向がある。”
  2. “実質賃金の柔軟性 . . . 実質賃金は労働生産性ほどには変動しない”
  3. “実質変数の緩やかな反応 . . . ショックの影響が完全に表れるのは通常は数期先である”

この「事実」は一つとして1933年の経済には当てはまっておらず、特に第1は全然違う。歴史上失業率が最高水準だった1933年にインフレ率が跳ね上がったのだから。マネタリストのモデルならば1933を容易に説明できる。つまりパワフルな名目ショック(ドルの減価)が急激に産出を押し上げた。しかし1933の話ばかりするのは飽き飽き。他にいい例がないのなら私のしている区別はそれほど重要ではないのかもしれない。幸いなことに、クルーグマンが最近の例を見つけてくれた。

Mark Thoma 経由。ダラス連銀によると、インフレ率は目標を下回っているものの、コアインフレ率までもが加速しているらしい

考えれるのは、とにかく水準の上昇と率の上昇が同時に起こっている。低水準からの成長であっても価格支配力を強める企業は存在するし賃金を少し上げる企業もある。つまり昨夏以来の米国経済の成長と失業率の低下がインフレ率上昇をもたらした。しかし、過去の経験が参考になるなら、経済の加速が続かない限りこれは一時的なものだろう。

ケインジアンモデルでも、十分な「周転円」を足して行けば現実を描写できるだろうね。私としてはフィッシャーとフリードマンに従うだけ-名目ショックは実質に影響する。

PS. クルーグマンの元のエントリを見よ。そこのグラフを見ればもっと分かりやすいと思う。他人のエントリをむやみにコピーするのは好きじゃない。

PPS. クルーグマンが言っている「昨夏以来の米国経済の成長と失業率の低下」のことだが、これはQEによるものだろうか? Martin Feldstein はそうだと言う。彼は2008-09にFedはもう弾薬切れだと言った経済学者の一人じゃなかった? コメント欄で教えてもらえるとありがたい。