Fedの資産購入プログラム by Vice Chair Janet L. Yellen

Vice Chair Janet L. Yellen

At the The Brimmer Policy Forum, Allied Social Science Associations Annual Meeting, Denver, Colorado

January 8, 2011

Fedの資産購入プログラム

ブリマー政策フォーラムに参加できることを大変喜ばしく思っております。また、アンドリュー・ブリマーがジョンソン大統領からFRBの理事に任命されて45周年の記念すべき年でもあります。アンドリューが主催した毎年のフォーラムは、彼の長期的な経済分析の手助けとなり、重要な政策課題の発表に反映されるものとなりました。

私がこれから今日、お話しすることはFOMCが決断し11月に始めた新型資産購入プログラムの論理的な根拠についてです。また、私はこのプログラムの経済や金融への影響について国内や海外にて質問に答えています。新型プログラムの目的は、危機以来FOMCによる金融政策のひとつとして、議会に対して負う責任である雇用の最大化と物価の安定を達成するものです。この目的を達成するために、2008年の暮れにはFOMCは政策金利を0%近辺まで引き下げ、2009年と2010年の初めに長期証券を大規模で買い入れを実施し、昨年の夏には満期を迎えるたり償還されるモーゲージ関連証券をバランスシートの規模を維持するために再投資しました。11月の初めには今年の半ばまでにさらに$600 billionの長期国債を買い増すことを決定し発表しました。

資産購入プログラムの論理的根拠

マクロ経済の状況

我々の資産購入プログラムを理解してもらうために、過去数年間のマクロ経済状況の変革を見直すことは助けになります。NBERは不況の始まりを2007年12月としました。しかし、不況のペースの加速を引き起こしたのは2008年9月のリーマンショックであり、また続いて世界の金融市場を混乱に陥れました。図表1を見ると、失業率は2008年の約5%から、2009年の9月には約10%まで上昇し、未だに約9%に留まっています。私も含みますが多くの見方では、完全雇用と安定した物価上昇率レベルよりもとても高いところにあります。例えば最近のフィラデルフィア連銀の研究では、しばしばNAIRUと言われる、構造的失業率の推計の中央値は約5.75%であり、これは失業率とのギャップが約4%近くあることを意味しています。

更に付け加えれば、時間的にも失業者の大部分が非常に長い失業期間になっています。例えば概ね4%分の今日の失業率は、個人が半年からそれ以上にわたって失業していることを反映しています。それらの人々は、長い期間失業することによって、彼らの技能が労働人口に参加できる可能性を失うリスクに直面しています。さらに導けることは、仕事の労働需要を復活させることは緊急性があります。

インフレ率が下落することによって、一般的に資源の活用率が低下します。また実際に、図2にある通り、個人の支出の物価指標であるPCEは2008年から劇的に低下しています。総合PCEのインフレ率は、エネルギー価格の大きな変動が隠されています。しかし、トレンドの下落傾向はコアPCEから明らかです。この指標は食料とエネルギーの変動を含みません。2008年半ばから2009年半ばの一年間でコアPCEは2.5%から1.5%まで下落しています。さらに、2010年の終わりには1%未満になっています。

物価上昇率の下落は、FOMCの二つの目標のうち、中長期的に委員が望ましいとするインフレ率、約2%あるいは、少し下回るとされている目標をやや下回ります。特に正のインフレ率が名目金利の平均水準より少し上回っている時には、それによってFOMCの見通しが負のショックに対して対応することになります。適切な正のインフレ率は、マクロ経済を停滞させるデフレーションをもたらすショックのリスクを軽減させます。

もちろん、もし去年の秋に経済成長する見通しや急激なインフレになる趨勢の情報が入ってきたならば、その場合に金融緩和政策は小さくなっていたことでしょう。しかし、そのようなケースにはなりませんでした。連銀が年4回議事録と一緒に発表する経済予測の概況(SEP)では、委員の見通しの多くは、2012年末にかけて少しずつ改善して失業率は8%と予想し、この数字は外部の大勢の機関による見通しと同じです。同様に、委員の予想は徐々にインフレ率もFRBの目標へと一貫して向かっていくとしています。さらに、継続して経済活動やインフレ率の伸びの見通しのダウンサイドリスクが顕在化した場合には、適宜さらなる金融緩和を行い、それによって経済活動の落ち込みやインフレ率が下落するリスクを減らしていきます。

資産購入プログラムのデザイン

昨年秋の政策の選択肢の検討では、委員会では更なる長期国債の買い増しによって経済回復を下支えし、デュアルマンデートに整合的なインフレ率の水準まで戻すことができるかという可能性について慎重に熟議しました。私の判断では、両方とも理論的にも実証的にも、そのような資産購入は他の手段よりも長期金利を低く保つことによって効果をもたらすのではないでしょうか。

理論的に1950年代の初めに振り返ると、資産価格は負債残高と直接結びついています。例えば、特定期間選好仮説によると投資家のポートフォリオでは短期国債と長期国債は不完全代替であり、裁定取引の効果は裁定取引をする人のリスク回避や予算制約によるマーケットの摩擦により限られています。従って、金利の期間構造は外因性の供給ショックや需要ショックにより影響を受けます。中央銀行による長期国債買い入れは供給曲線をシフトさせ、価格を押し上げ、これらの債券の金利を下げるます

ここで述べてきたような分析のフレームワークから、資産購入プログラムの効果は、投資家の短期金利の将来に対する見通しにかかっているが、その見通しもまた、結局のところ中央銀行の資産購入の巻き戻しのタイミングとペースによります。つまり、中央銀行のコミュニケーションが資産購入プログラムの金融市場における影響に重要な役割を担うのです。

最近の実証研究では長期国債購入の定量的な大まかな評価を提供しています。さらに、FRBとイングランド銀行ではそれぞれの資産購入プログラムのアナウンスによる短期の反応をすでに調査しています。また回帰分析では、特定の理論的なフレームワークから予測を埋め込んだ統計モデルの推計を使っています。

テーブル1に第一弾のFRBの資産購入に関する4期間の金融変数を要約しています。2008年11月25日にFRBは$600 billionの政府機関のMBSと政府機関債を発表しました。さらに12月1日には、バーナンキ議長が詳細を発表しました。12月16日にはFOMCはこのプログラムを正式に開始しました。2009年3月18日には、プログラムを拡大し、さらに$850 billionの政府機関のMBSと$300 billion政府機関の買い増しを発表しました。テーブルからその実証として、アナウンス後から徐々に連動して10年国債や10年の物価連動国債と結びついて政府機関債や社債の金利がかなり下がっていることがわかります。

現在は、Fedの資産購入がマクロ経済状況を変化させ、いくつかの異なるチャンネルを通じて資産購入が総需要に効果をもたらしています。それには、消費者やビジネスに対する信用コストを引き下げる効果もあり、資産価格の上昇によって、家計厚生や消費を加速させています。また適度な外国為替の変動によって純輸出をサポートしています。この定量的な効果の大きさは委員メンバーのスタッフや定期的に経済シナリオをシミュレーションするモデルとして開発したFRB/USのようなといったマクロ経済モデルを使うことによって測ることが出来ます。

図3で描写しているのは、そのようなシミュレーションを実行した結果で、Fedの4人のエコノミストによって最近発表された報告書です。描く手順としては、1年以内に完全に$600 billion長期国債を購入した仮定をいれ、そのまま2年目まで保有し続けた後5年目までに、量を一定の割合で変化させています。

このような軌道を描いたのは、10年国債の利回りが毎年ベースラインへ向けて0.25%ずつ徐々に低下したためです。この長期国債の利回りの動きは、実質GDPの成長に大きな効果をもたらし、非農業部門就業者数におよそ700,000人の雇用を創出します。注意すべきことは、このシミュレーション結果は、実行されていており、経済活動と物価上昇率のダウンサイドリスクの軽減を潜在的なメリットとして捉えるものではないということです。

この報告書で注意すべきことは、FOMCの全ての資産購入プログラムのマクロ経済への影響が分析されており、2008年の暮れから2009年の初頭にかけて始まった第一弾の購入プログラム、昨年夏の再投資の修正プログラム、11月に始まった第二弾の購入プログラムは含まれています。これらのシミュレーションが2012年までに示しているものは、資産購入プログラムは民間部門を押し上げて約3 millionの雇用を創出します。さらにシミュレーションから示すものは、FOMCが資産購入しなかった場合と比べ1%インフレ率が高くなっています。この意味は資産購入をしなければ、経済はほとんどデフレーションであったということです。

いくつかの疑問点についての回答

プログラムは経済の回復の促進に効果的なのでしょうか?

プログラムが本当に効果的か?と一言で言うと答えはYESです。テーブル2で示しているのは、金融市場の反応のプログラム展開の3段階。一つ目は、2010年の8月10日、この時にFOMCは、資産購入した政府機関のMBSと政府機関債の元本返済の再投資を発表しました。二つ目は、8月11日から11月2日まで。三つ目は11月3日、この日はFOMCの会合でプロフラムの開始を発表した日です。

11月にFOMCの会合で資産購入プログラムを開始したときにはマーケットの反応はほとんどなかった。その理由は投資家によって大部分が予想されていたからです。Fedは公式に去年の夏から秋にかけて大きな材料としていて公に議論されていました。重要なことはプロフラムの予想が徐々に、去年の夏から秋にかけて資産価格に組み込まれていったことです。10年の物価連動債の利回りは8月から11月のFOMCの会合までの間に0.5%近く下落しました。さらに、株価は上昇し、社債とのスプレッドは小さくなりました。 長い期間でもちろん、資産価格は経済情報に反応し、良好な企業業績の報告書に反応しましたが、全体的な金融市場のデータは私のFedの資産購入の金融政策の効果に対する自信を強固にするものでした。実際に市場金利は、11月にFOMCの会合でプロフラムを進めないことはないと裏付けているようでした。

図4を見ていただくと、FOMCがこの度の資産購入を開始してから過去数ヶ月で長期金利の利回りは実際に上がっています。私は、この利回りの要因には様々な大切な要素が入っていると思っています。経済の見通しが良好という情報も含まれますし、財政出動や12月初めのオバマ大統領の発表や約2週間後に議会に承認されたものは、来年の経済成長をサポートするだけでなく、連邦政府の借金を増やします。また、投資家は、FOMCが既に発表しているよりもさらに資産購入をするだろうという予想を縮小させたようにみえます。しかし、市場金利における再評価の効果の見方は、Fedの資産購入が実際に利回りに影響を与えるという分析や実証的な証左でもあります。

資産購入プロフラムは過度のインフレをもたらさないのか?

いくつかの論者から資産購入プログラムは過度のインフレをもたらすという声はあります。ひとつの論理的な裏付けは、この見方は、実際の経済運営が少し上手くいっていないだけで、それは失業率もNAIRUからそんなに乖離していないといことです。ふたつめは、資産購入プログラムはFedのバランスシートを膨らませ、預金準備を供給します。では、その二つの要因を考えてみましょう。

経済停滞の広がり

アメリカ経済は求人数と求職者数の相関を示すベバリッジ曲線のNAIRUの点を外側にシフトさせて、構造的失業率を増加させていることを示唆しているという方々がいます。最も単純な枠組みでは、下方へ向かい、ベバリッジ曲線は労働市場の状況、構造的な圧力によってしばしば内側や外側にシフトし、循環するとされています。

図5から明らかなように、ベバリッジ曲線は近年では外側にシフトしています。しかし、ベバリッジ曲線は、自然的に起こる景気循環を含め、様々な不況により外側にシフトすることがあります。そこで重要なことは、シフトさせた構造的な圧力とは何か原因を突きとめて理解することです。

ベバリッジ曲線の外側へのシフトを説明する構造的な要因としていくつかの証拠があります。特に、ひとつの要因としては失業者と求人のミスマッチが増えて効率性が低下するがあります。しかし、効率性の低下と大規模な求人の減少が起きていて、この二つが同時に進行していて結びついているように思います。特に、労働需要の弱さはおそらく通常のケースよりも労働市場の効率性が機能せず、またマッチングの効率性が通常に戻ると労働需要が改善すると思います。実際に時系列でみると、長期の平均に向かっています。そうは言っても、長期的に失業率が長く続くと、個人の長期失業は彼らの技能を失う可能性もあり構造的失業率を上昇させる大きな問題です。しかし、そのような結果を招く前に、積極的な政策で速やかに失業を減らさなければなりません。

最近のベバリッジ曲線の外側へのシフトの別の要因は、失業手当ての最大期間の増加によるものでしょう。これは彼らが受け入れる仕事の選択肢を増やします。しかし、最近の研究では失業手当ての拡大は失業者の数を増やすことと少し関係があるようです。また、失業手当拡大の影響の大きさは、景気回復と拡大した失業手当てが切れると消え関係ないようです。

さらに最近のベバリッジ曲線の外側へのシフトは明らかに構造問題よりも景気を反映しています。例えば、通常ベバリッジ曲線が反時計回りのように動くため、求人は労働需要の失業者の変化より素早く調整されます。実際に図からみると過去の不況では反時計回りの動きをしています。

最後に、最も強調しておきたいことは、失業と求人の動きは近年で通常とかけ離れてはいないということです。例えば、求人が少ない時に解雇は多く、労働需要の弱さは2008年半ばの失業者の増加からもたらされ、この調査では最近のインフレ率の動きと一致し、この傾向は過去3年にわたり、資源の有効活用が妨げられていることは注意しなければなりません。同様に、名目賃金の伸びも過去数年間は著しく下落しており、いまだに低い伸びが続いています。

つまり以上の点から、弱い労働需要は現在失業を加速している唯一の理由というわけではありませんし、複雑に絡み合った失業に関するさまざまな要因を解きほぐすのは容易ではありませんが、失業率が高いままになっている主要因が弱い労働需要であることは明らかです。またこの弱さは、有効資源の活用が平時よりも低いレベルにとどまっています。我々の資産購入プログラムが過度のインフレを引き起こしても政策効果がこのリスクを緩和します。

インフレーションと預金準備

Fedの資産購入プログラムがインフレをもたらすことを心配する識者たちの第二の理由は、このプログラムで預金準備の量が危機前よりもはるかに増えたというものです。一つの見方 – 緩和的な金融政策が長く続き過ぎると物価上昇率が望ましくない水準まで上昇してしまう – には私は強く同意します。それは預金準備の量にかかわりなく真実ですし、ゼロ制約がない状況での金融政策にも付きまとう問題です。委員会は、定期的に情報を点検してプログラムを評価し直し目標に合うように必要な調整して行くと明言していますが、その理由の一つがまさにこの点なのです。FOMCはやがて経済が順調なペースで自律的に改善したら、金融を引き締めなければならないことを認識しています。ここで強調しておきたいことは、委員会が物価の安定を確固として守り続け、2%かややそれを下回る数値以上のインフレ率を目指してはいないということです。FOMCのメンバーは一貫してそれがマンデートだと理解しています。

対して、私が賛同できない考え方は、金融緩和を転換するときに、預金準備の量が大きく、我々の資産購入が特別な障壁になって金融政策が機能しなくなるということです。FOMCは短期金利を上げることが出来ます。我々は超過準備に対して現在0.25%支払っています。それは短期金利への影響を持っていて、金融引き締めが必要なときには、超過準備への付利も同様に引き上げることができます。

非常に大きい超過準備の量であると、超過準備の付利の変更によってFFレートや他の市場の短期金利に十分に反映されないかもしれません。そのような時には、連邦準備金を活用することによって預金準備を流動化させたり、固定化することが可能です。その場合にはFFレートのコントロールを強化します。預金準備を減らす手段としては、預金準備の売り現先オペ取引相手の範囲をプライマリーディーラーや政府機関MBSを担保するような機関に対して広げます。連邦準備金にターム物預金ファシリティーを通して加盟機関が要求する預金を置くことができるようにします。それは彼らの顧客が要求するCDとほぼ同様のものです。我々はこのいくつかの小さなオペと彼らが必要なものを素早く提供する仕組みの組み合わせを試しています。売り現先オペとターム物預金ファシリティーを連邦準備金に使うことによって数千億ドルもの預金準備を銀行システムが必要なだけ流動化することになります。我々は流動的な莫大な預金準備が出口戦略をスムーズに行うために必要だとは考えていませんが、準備することは理にかなっていますし、それは念には念を入れた手段です。

最後に、我々の保有するMBS,政府機関債、財務省証券は売ることが可能です。我々がその時が適切な金融環境だと決定すればできます。有価証券の償還や売却はFedのバランスシート、さらには預金準備を縮小する効果があります。長い目でみれば、より平時の状況に近づけば、元のバランスシートの大きさと構成に戻すことが目標です。何を売るにしてもゆるやかなペースでマーケット参加者と透明なコミュニケーションを通じて、適切な経済状況を考慮しながら行います。

つまり、我々の開発したツールの幅を広げ、我々の物価の安定を含む、マクロ経済状況の目標に対して政策スタンスの変更が必要な時には、短期金利を上昇させることも莫大な量の預金準備を流動化することも出来ます。

資産購入プログラムは不均衡の是正となるのか?

委員会の資産購入の意図するところは長期金利の水準を押し下げることによって、企業や家計の信用緩和を促すことです。このプロセスが行き過ぎてしまった場合の懸念は、潜在的な借り手が低い調達コストから過度なレバレッジを取るのを助長しかねないことと、投資家が超低金利を背景として受け入れることのできるリスクより大きなリターンを追い求めてしまいかねないことです。

この懸念はたしかに深刻なもので、Fedは慎重に金融市場の安定を脅かすような兆候の指標をモニタリングしています。それは、ひとつの指標だけではなく、我々は様々な脅威の評価は出来ますし、標準的なマーケットの指標では、現在特に目立った行き過ぎや不均衡の指標はアメリカではありません。

例えば証券市場をいくつかの指標で見ると、PERは過去数十年の平均より低いままですし、その他の見方でも株価は目立って過去の例とずれているわけではありません。不動産市場でも住宅用と商業用不動産のprice-to-rent ratiosは、どちらも今は長期平均の理論の範囲内ですし、危機前は大きな乖離がありました。繰り返しになりますが、少なくとも歴史的に見ることが役立つとするとファンダメンタルズからの乖離は小さなものです。債券市場では、狭いスプレッドとリスクプレミアムが投資家の過度のリスクテイクの兆候です。実際に、社債のスプレッドは金融危機以降に劇的に低下しました。それは経済の見通しが改善したことと、投資家の意識が戻ったことです。非金融部門の社債のリスクプレミアムは、長い期間のフォワードレートで見ると、歴史的な水準よりも比較的低いです。しかし、他のマーケットの指標をみると決して過大評価ではありません。

他の不均衡を見極める方法は、直接信用の流れと信用リスク残高を見ることです。金融機関のバランスシートに急激に信用が伸びていることから大きくリスクをとっていることがわかります。ここ数ヶ月で非金融部門の企業が巨額の社債発行やシンジゲートレバレッジローンを発行し、消費者信用の銀行引当からはいくらかの復活の兆しが見えます。それでもなお企業の社債発行は特に弱い中小企業の企業への債務担保証券などを含む借金の借り換えに充てられています。また、商業と住宅用ローンの組成は縮んだままです。このように金融機関の信用の急拡大や家計や企業への流動性の供給は少し見られるものの、現在の超低金利や経済の持続的な回復の中で信用の流れは断固として低迷しています。

もちろん、このように集計された指標は信用の緩和度を測るのに完全ではありません。マーケット参加者の異なった結論になる調査もあるでしょう。我々は、銀行貸し出しの企業と家計のローンの需要と供給の情報をFedの銀行貸出部門の担当者から得ています。最近の調査では、銀行が危機後数ヶ月の間で行った、歴史的にも大きな引き締めを少しずつ戻し始めたことがわかっています。実際に、平常時まで貸し出しの状況が戻るまでには、おそらくかなり緩和する時間がかかるでしょう。

Fedのシニアクレジットオフィサーは昨年の6月からディーラーの資金調達条件の調査について金融市場に参加するディーラーのレバレッジのモニターを始めました。この調査では、有価証券の保有状況や店頭デリバティブを含む、仲介ディーラーのクレジットの期間や様々な形の利用方法の情報が分かっています。この調査の結果、過去数カ月にわたって、資金調達の取引相手の幅や担保の種類が緩和されていることがわかります。また、クライアントから様々な有価証券の形によって資金調達されています。これらの結果から、ノンバンク金融機関が去年からいくらか資金調達がスムーズになり、レバレッジが高くなっています。様々な指標を見るとレバレッジは危機前よりも低い水準のままです。しかし、これらの指標はよく見ていく必要があり、新しい調査は我々が目的を達成するために新しいツールを開発し、我々の強いコミットメントを反映しています。

Fedは多くの金融状況の指標を密接に監視し、経済金融市場の影響だけでなく、金融システムそのもののリスクをよりよく理解していきます。我々は頑固とした金融市場をつくるため、監督がもたらすシステマティックリスクにも配慮しながら、その他の規制もしています。もし、金融不均衡の影響が顕在化したときには、長期的に物価の安定と雇用の最大化という目標に集中するために、私は監督と規制によって最初の防衛を構築すべきだと信じています。それは、金融不均衡のために金融政策を位置づけられないということを意味するわけではなく、それによって損失を与えかねないからです。

資産購入プログラムは他国の経済に不利益となるのか?

私の最後の質疑応答は、Fedの資産購入プログラムが外国経済に悪影響を及ぼす可能性があるという識者の見方についてです。ひとつの懸念はこれらのような証券の購入によってUSドルが下落すだろうということです。それによって我々と貿易している国にとっては需要が減少します。しかし、長期の証券購入は普段行っている短期金利の操作の手段よりも若干伝統的ない金融政策です。目標や波及効果はほとんど変わらず、これらの資産購入は特別なことではなく、ドルの量を増やします。

実際に時系列のデータから見ても、資産購入の効果は適度に外国為替市場に表れています。これらはテーブル3に、カナダドル、ポンド、ユーロ、円に対するそれぞれのドルの為替レートの変化を掲げています。これらの為替レートの動きは、他の週や月の変動と比べても特別に大きなわけではありません。実際に図6で、過去数年の流れから見ても為替レートの変化はとても安定していることがわかります。

関連した懸念として、Fedの資産購入が新興国に過度の資本流入を引き起こすという人達がいます。資本流入はそれらの新興国の通貨を切り上げ圧力となり、資産価格バブルを起こすというものです。

図7に示す、ラテンアメリカとアジアの新興国における民間部門のネットキャッシュフローの対GDP比は、2009年後半と2010年の前半の大きな変化は、危機前の水準と比べて特別大きなものではありません。図8では似た様なパターンとして、2007年からの新興国の債券と証券に対するミューチュアルファンドによる資本流入額を示しています。どちらのケースでも、一年間で急激な資本流入か危機の間に起きた大規模な資本流出を反映しており、実際に、新興国の株式需要は危機前の傾向に戻っているにすぎません。

Fedの資産購入を含む、先進国の金融調節は様々な金利や新興国の資本移動に作用します。しかし、この作用は誇張されるべきではありません。新興国の成長を見通して危機の時に起きた資本流出の巻き戻しなど、他の要素も同様に重要です。さらに、新興国にとって全く悪いこととするのは間違いです。グローバル経済の平常化は、新興国の国内需要やその成長のために最終的に強い経済をつくり、さらに資本流入は新興国経済を支えことになります。

最後に、我々の資産購入プログラムが他国の犠牲にして、ドルの減価と輸出競争力のために行っている批評に対してお話します。アメリカ経済の成長を刺激することが他国の商品に対する我々の需要を加速させ、海外の成長を促進するという事実は無視されています。先述したとおりアメリカの外国の消費に対する需要が弱い傾向は外国為替市場にて安定的な動きをもたらすかもしれませんこの効果は、アメリカの金融刺激策以外への効果を消しさるという点で重要です。外国の需要が最終的に加速されるかどうか、またはこの2つの効果がアメリカの金融政策の大きさによって消えてしまうかどうかで最終的には実証的な問題です。しかし、我々は資産購入によって穏やかに為替レートに反映されると信じています。私は、低金利によって従来のような金融緩和が達成されているように見え、我々の資産購入の決定は外国の成長を妨げないものだと思っています。特にアメリカはグローバル経済において重要な国で、アメリカ経済が別の不況に陥ることが、他国の利益になるとは考えられません。長期的には、元気で活力に満ちたグローバル経済が時速可能なものとするには、我々の資産購入プログラムが下支えするアメリカ経済にかかっています。

まとめ

最後に繰り返しになりますが、11月非常に大きく深い不況から景気回復をサポートすることと、FOMCの委員の多くが考えるインフレ率を戻すために開始したFOMCの資産購入プログラムだけでは、万能薬ではありません。しかし、私は雇用の最大化と物価の安定に貢献していくものだと信じています。

http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/yellen20110108a.htm

pdf版は

http://d.hatena.ne.jp/keiseisaimin/files/110116yellen_final.pdf?d=y

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    お疲れ様です!気づいたところを…
    the outstanding quantity of assets は負債残高というより「その資産の流通量」だろうと思います。

    そうすると「資産購入プログラムのデザイン」の第二段落の冒頭は、こんな感じかなあと。
    「この基礎となる理論、資産価格はその資産の流通量と直接リンクしているという理論は1950年代初期にさかのぼることができます。たとえば特定期間選好仮説では短期国債と長期国債は…」