「またですか?」 by Scott Sumner

Scott Samner のブログから、Here we go again? (November 16th, 2010)を翻訳しました。翻訳の動機は最後のビデオを紹介するため。 


 

今年の5月、私はユーロの債務危機がドルへの需要を増やすので米国の総需要が減退するだろうと指摘した。投資家の安全への逃避としてのドル高がその一つの兆候だった。私が予期した通り、これで第二および第三四半期に米国経済は減速し、FedはQE2計画に追い込まれた。QE2は少なくとも限られた範囲では「機能」し、債権と外国為替といった資産価格を上昇させた。ドル及び期待される名目GDP成長が4月のレベルに戻ったのは、QE2の噂がユーロ危機の影響をおおむね相殺したからだろう。  

残念ながら、ユーロ危機は再び燃え上がっているようだ。ユーロが 1.40 から 1.35 に急落した様子を見よ。ドルは再び上昇し、資産は下落し始めている。これが単に一時的な急落だといいのだが。もしユーロ危機が米国経済にデフレインパクトをもたらし得るほど厳しいものになってしまったら、さらなるQE(あるいはもっと効果的な、たとえば水準目標や準備預金金利の引き下げ)が必要だ。皮肉なことに、Fedの「インフレ」政策が容赦なく批判されている状況下でそんなことが起こっているのだ。  

 

このブログの読者の方なら、私がよく「物価変化から判断するな」と言っているのを思い出してくれるだろう。だからどうして私が為替レートの変化についてこんなに大げさに言うのか不思議に思われるかもしれない。実際為替レートだけから結論を導くのはとても危険だ。変化を引き起こした出来事のニュースを見たり、株・コモディティ・不動産、TIPSスプレッドといった他の資産の市場を確認する必要がある。  

ECBは、ほとんどのユーロ圏メンバーについて金融政策が引締め過剰になっているということを認識しているようには見えない。PIIGSだけでなく、フランスのような大きな経済についてさえ。そのことがユーロ圏の負債危機を悪化させているし、私の見るところ彼らは現在の不況だけでなく、長期的な財政不均衡に直面するだろう。  

ヨーロッパの金融引締め政策が債務危機を燃え上がらせ、安全への逃避が起こるのでユーロが下落している。そして弱いユーロから利益を得るのはどの機械主要輸出国だろうか。カナダの読者の皆さんに、こんな例えで。コモディティ価格が下落したとする。カナダはコモディティのメジャーな輸出国なのでカナダドルは下落するだろう。しかし、オンタリオ地域の輸出製造業者は助かるだろう。 

為替はゼロサムゲームではない。たとえ債務危機の期間ユーロが下落したとしても、ECBの引締め政策はユーロ圏の名目GDPの成長を落ち込ませる。1.35という交換レート自体は米国とヨーロッパの金融緩和の表れでありうるし、両地域の金融引締めの表れでもあり得る。交換レートに注目するときには、両地域の名目GDPの期待成長率を演出する基本事項である金融政策への視点を失わないようにしよう。それを正しく把握できれば、それは為替レートにおいてほとんど違わないか、まったく同じことが起こるということだ。 

追伸: いくつか前のポストで反QEの面白ビデオにリンクした。“wkw ”さんという人が私をアニメ化してくれていて、Greg Ransom氏がさらにそれをカラーアニメにしてくれている。(彼は知らないだろうが、私自身は元の白黒版を見るほうが好き)。もし人々が私と同じような主張を論じるようになったなら、NGDPみたいな上品じゃないフレーズは使ってこなかったけど。