緊縮財政か繁栄か by Russ Roberts

10月7日にCafe Hayekに掲載されたRussell RobertsのAusterity or prosperity?の訳。誤訳の指摘お願いします。


ケインジアンにどうやって政府の財政支出が繁栄をもたらすのかの実証的な証拠を求めたとき、彼らの1番良くて頻繁に返される答えは、どうやって第二次世界大戦が恐慌を終わらせたのか、というものだ―そう、大規模な赤字財政の政府支出の増加が終わらせたのだ、と。しかし、ロバート・ヒッグズが指摘しているように、失業の激減はケインズ乗数の魔法によるものというよりむしろ徴兵制によるものだ―アメリカ人は軍隊に入れさせられたのだから。ヒッグズは、GDPの上昇は政府の生産性の価値を測るという問題(請け負っている政府の下で依頼された戦車の価格は車の価格を意味するものなのだろうか?)と価格統制(いくつかのものは安かったが自由には買えなかった)によって歪められていると主張する。

私はより逸話に富んでいるが多分より説得力のある論拠を用いる。戦時中、アメリカにもイギリスにもドイツにも繁栄は存在しなかった。その時代を駆け巡った人でその時代を経済活動が急成長していた時代として回想する人はどこにもいない。その時代は、あなたが戦車や爆弾や銃弾を作ることに従事していない限り、苦難と困窮の時代だった。そこにケインズ乗数は無かった。戦車に費やした1ドルは、民間経済を「刺激」などしなかった。1ドルの政府支出は1.52ドルの経済生産性を生み出しはしなかった。より多くの戦車は、鉄や労働者がより高価になるため、より少ない自動車を意味した。そして民間が使える資源はより少なかった。

私がこのことについて私の協力者であるジョン・パポラに話したとき、彼は私の主張を軽くいなしているポール・クルーグマンのこの記事を指し示した。先の記事でクルーグマンは、第二次世界大戦でのGDPの上昇はざっと財政支出額と同じ程度だという私と似た見解を展開している、ボブ・ホールとスーザン・ウッドワードのこの記事に反応していた。そこに刺激的な効果は無かった。ホールとウッドワードはマイナスの効果があると主張しているわけではない―測定に関するヒッグズの主張との関連もある。しかし、彼らは、経済の残りの部分にプラスの効果など決して無かったと主張しているのだ。

それでもクルーグマンはケインズ乗数はまだまだ健在だと主張したいようだ。彼はホールとウッドワード(そして恐らく私の主張にも同様に)に2語(原文)で返答している:

ふむ、配給かい?

それからアメリカの歴史のウェブサイトから引用している:

第二次世界大戦が始まると、おびただしい数の挑戦がアメリカの人々の前に立ちはだかった。政府は戦時の間、食料、ガソリン、服までも配給する必要性を見出した。アメリカ人は全てのものを大切にするよう要請された。戦争の影響を受けないものは誰一人としておらず、配給は全てを犠牲にすることを意味した。

ここにいるみんなを助けてやってくれ。私や他の2人は第二次世界大戦での政府支出―債務によって賄われた政府支出の巨大なスパイク波形だ―は繁栄や景気回復をもたらしはしなかったと主張している。爆弾は食べられないし、戦車は着れないし、銃弾でコーヒーを甘くすることもできないので、それは苦難をもたらすだけだった。そしてクルーグマン、ノーベル賞をもらい、しっかりと訓練された経済学者が、私たちは間違っていると主張する。それはケインズ乗数の失敗では無かった、と。私たちが間違っている理由は、アメリカ政府が配給という政府のプログラムによって人々に少ないけれども十分な量を手に入れるよう強制したとしていることにあるという。クルーグマンは、それがもし配給のためでなかったとしたらそのすべての栄光の中にケインズ乗数を見ることができただろうという主張をしているように見える。一体彼は何について話しているというんだ? 彼は配給が欠乏への反応というより欠乏を生み出したと考えているのだろうか?

ケインズ乗数のもっとも愚かな面の1つは1.52のように不変なものとして扱うことにある。それは不変ではありえないし、意味のある方法でもない。もし政府がアメリカの人口の半分を1日中穴を掘らせることに従事させ、もう半分にそれを埋めさせ、全員それぞれに日給として10億ドルを支払い、掘って埋めた穴を1兆ドルと評価すれば、GDPは非常に、非常に高くなり、失業はゼロになるだろう。しかしそこに刺激的な効果は無く、私たちはすぐに餓死するだろう。(人々を働かせる際の配置についてはここでは無視する。)

第二次世界大戦が民間部門を刺激しなかったという事実は、ケインズ主義がいつも失敗するということを証明するものではない。もしかしたらより小さい軍隊とより少ない戦車なら違ったかもしれない。しかしそれは間違いなくケインズ主義の成功を証明するものでもない。ケインズ主義は成功しなかった。ケインズ主義は民間部門を刺激しなかった。ケインズ乗数は、政府の契約の受け取り手として、元々の支出に50セントや2ドルを上乗せしたり、労働者が使えるお金を増やすことはなかった。ケインズ乗数は民間部門を餓死させた。それはケインズ刺激の例としては失敗だったのだ。